ストレスチェックの義務化 中小企業のメンタルヘルス対策強化 立ち仕事のミカタ

ストレスチェック義務化、50人未満の事業場へ拡大:中小企業のメンタルヘルス対策強化へ

職場のメンタルヘルス対策として導入されたストレスチェック制度が、従業員50人未満の事業場にも義務化される見通しとなりました。この動きは、全ての労働者の心の健康を守るための重要な一歩とされています。

ストレスチェック制度の概要

ストレスチェック制度は、労働者の心理的負担を定期的に評価し、メンタルヘルス不調の予防や職場環境の改善を目的としています。2015年12月の労働安全衛生法改正により、従業員50人以上の事業場での実施が義務付けられました。しかし、50人未満の事業場では努力義務とされ、実施率は低迷していました。

義務化拡大の背景

厚生労働省の「ストレスチェック制度等のメンタルヘルス対策に関する検討会」は、2024年11月に中間取りまとめを行い、50人未満の事業場にもストレスチェックの実施義務を拡大することを提言しました。この提言の背景には、小規模事業場におけるメンタルヘルス対策の重要性が高まっていることがあります。特に、労働安全衛生調査(実態調査)2023年によれば、50人未満の事業場でのストレスチェック実施率は34.6%と低く、対策の強化が求められていました。

小規模事業場への支援策

義務化に伴い、50人未満の事業場では以下のような支援策が検討されています。

  • 外部委託の推奨:産業医の選任義務がない小規模事業場では、労働者のプライバシー保護の観点から、ストレスチェックの実施を外部機関に委託することが推奨されています。
  • 地域産業保健センター(地産保)による支援:地産保では、50人未満の事業場に対して無料で産業保健支援サービスを提供しており、高ストレス者の面接指導にも対応しています。義務化拡大に伴い、面接指導の対象者が増加することが予想されるため、地産保の体制強化が必要とされています。
  • 実施マニュアルの作成と周知:小規模事業場の実情に即した、労働者のプライバシーを保護し、現実的で効果的な実施方法を示すマニュアルが作成され、周知徹底が図られる予定です。

施行時期と今後の対応

労働安全衛生法等の一部改正法案の要綱では、ストレスチェックの実施義務対象拡大の施行期日について、「公布の日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日」とされています。 これにより、2028年4月1日までには施行される見込みです。

中小企業の経営者や人事担当者は、今後の正式な施行日程を注視し、適切なメンタルヘルス対策の準備を進めることが求められます。外部機関の活用や地域の産業保健センターとの連携を図り、労働者の心の健康を守る体制を整えることが重要です。

まとめ

ストレスチェックの義務化対象が50人未満の事業場にも拡大されることで、全ての労働者のメンタルヘルス対策が強化されることが期待されます。中小企業にとっては新たな負担となる可能性もありますが、適切な支援策を活用し、職場環境の改善と労働者の健康維持に努めることが、企業の持続的な発展につながるでしょう。

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