OWAS法とは? 作業姿勢のリスク評価と職場環境改善

OWAS法とは? 作業姿勢のリスク評価と職場環境改善

1. OWAS法とは?

OWAS(Ovako Working Posture Analysis System)法は、作業中の姿勢を観察し、身体にかかる負荷を評価する方法の一つです。1970年代にフィンランドのOvako社によって開発され、主に製造業や建設業などの現場作業における労働負荷の分析に利用されています。

OWAS法では、作業姿勢を背中、腕、脚の動きに基づいて分類し、各姿勢の負荷レベルを数値化します。この評価により、作業環境の改善やリスクの特定が可能になります。

2. OWAS法の評価基準

OWAS法では、以下の4つの要素を観察し、負荷の程度を評価します。

  • 背中の姿勢(4段階)
  • 腕の使い方(3段階)
  • 脚の位置(7段階)
  • 負荷の重さ(3段階)

これらの姿勢を組み合わせ、作業全体の負荷を数値化し、1(問題なし)から4(即時改善が必要)までの4段階で評価します。

OWAS負荷レベル 評価内容
1 特に問題なし
2 改善の必要あり
3 なるべく早く改善が必要
4 すぐに改善が必要
OWAS法姿勢コードの分類と評価表1
OWAS法姿勢コードの分類と評価表2

3. OWAS法の適用手順

OWAS法を適用する際の手順は以下の通りです。

  1. 作業観察の実施
    • 作業員の動作を一定の間隔で観察し、各姿勢を記録します。
    • 動画や写真を用いて、より正確な分析を行うことも可能です。
  2. 姿勢の分類
    • OWASの基準に従い、背中、腕、脚、負荷の種類を分類します。
    • 例えば、「背中を曲げている」「腕を肩より上に上げている」「片脚で立っている」など。
  3. 負荷レベルの算出
    • 収集したデータを基に、各作業姿勢の負荷レベルを算出します。
    • 負荷レベル3や4に該当する姿勢が多い場合、作業改善が必要です。
  4. 改善策の検討と実施
    • 作業姿勢の改善(例:高さ調整可能な作業台の導入)
    • 適切な補助具の使用(例:アシストスーツ、立ち仕事用サポート機器)
    • 作業員への教育(例:正しい姿勢の指導)

4. OWAS法の活用例

事例1:製造業の組立作業

工場の組立ラインで、従業員が長時間前かがみになる作業をしている場合、OWAS法で「背中の負荷レベル3」と評価されることがあります。この場合、

  • 作業台の高さを調整し、前かがみの姿勢を減らす
  • 立ち仕事用の補助椅子を活用する といった改善策を実施できます。

事例2:介護職の持ち上げ動作

介護現場では、患者の体を持ち上げる際に腰への負担が大きくなることがあります。OWAS法を適用することで、「背中を大きく曲げる姿勢」が問題視されることが分かり、

  • 持ち上げ補助機器の導入
  • 介護者の動作指導 といった対策を取ることで、負荷を軽減できます。

5. OWAS法を活用した職場改善

OWAS法を用いた分析により、作業現場の負荷を定量的に把握できます。これにより、

  • 従業員の健康リスクを低減(腰痛や筋骨格系障害の予防)
  • 作業効率の向上(無駄な動作の削減)
  • 安全な職場環境の実現(事故リスクの低減)

が期待できます。

6. まとめ

OWAS法は、作業中の姿勢を評価し、労働負荷を数値化することで職場環境の改善に役立つツールです。特に立ち仕事が多い職場では、

  • OWAS法を用いた負荷評価
  • 作業姿勢の改善
  • 補助器具の導入 などを積極的に取り入れることで、作業者の負担を軽減し、安全で快適な職場環境を構築することが可能です。
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